今度のGPUにはGDDR7メモリが搭載されるかも
2024年3月5日、半導体技術の標準化を行うJEDECはグラフィックボード向けメモリの新規格である「GDDR7」の発行を発表しました。
GDDR7は新しくPAM3というインターフェイスを使うことで、電力効率を高め帯域幅を向上しています。
従来はNRZ(non-return-to-zero)インターフェイスを使って、2つの電圧レベル(0、1)に信号を分けて、1サイクルで1ビット、2サイクルで2ビット伝信していました。今回のPAM3は3つの電圧レベル(-1、0、1)に分けて、1サイクルで1.5ビット、2サイクルで3ビット伝信します。
PAM3はこのサイクルを繰り返すことで、帯域幅を増やし、パフォーマンスを高めています。これにより、GDDR7はGDDR6と比べて、帯域幅が2倍に増え、デバイス当たりで最大192GB/秒に達するそうです。
次世代GPUでGDDR7が登場する
このように先日発表されたばかりですが、GPUメーカーは今度のGPU製品にGDDR7を搭載するかもしれません。JEDECのGDDR7紹介ページでは、AMDのコンピューティングおよびグラフィックスCTO兼コーポレートフェローのジョー・マクリ氏が次のように述べたと書いています。
「GDDR7 の変革力を活用することで、私たちは共同して変革的なコンピューティングとグラフィックスの可能性の新時代を解き放ち、イノベーションと発見によって形成される未来への道を切り開くことができます。」
出典:JEDEC「JEDEC が GDDR7 グラフィックス メモリ規格を発行」
また、NVIDIAのGPU 製品管理副社長のKaustubh Sanghani 氏は述べたと書いています。
「NVIDIA は、JEDEC との取り組みにより、PAM シグナリングが GDDR7 の基礎テクノロジとなり、お客様が GPU から最大限のパフォーマンスを引き出すことができるようになったことを大変うれしく思っています。」
出典:JEDEC「JEDEC が GDDR7 グラフィックス メモリ規格を発行」
これは、Radeon RX 8000シリーズやGeForce RTX 5000シリーズにはGDDR7が使うということなのでしょうか。もし本当なら更なる性能アップが期待できます。
すでにGDDR7を開発しているSamsung
サムスンは2023年7月19日にホームページにて世界初のGDDR7 DRAMを開発したと発表しています。
サムスンが世界で初めて開発した「32Gbps GDDR7 DRAM」は、同じく昨年のサムスンによる世界初の「24Gbps GDDR6 DRAM」と比較して、パフォーマンスが1.4倍向上しています。また、高速動作に最適化された低電力設計技術を用いることで、電力効率が20%向上しています。
サムスンは低電力設計にすることで、バッテリーを気にするノートパソコン上でのアプリケーションをサポートするとしています。さらに、熱抵抗が約70%減少することで、高いワークロードでも発熱を抑え、安定した動作を提供します。
また、サムスンはこの GDDR7 DRAMを次世代のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、人工知能(AI)、自動運転車などの多様な分野で活用する見通しを立てています。
今後も、サムスンが半導体分野でGDDRを牽引していくかもしれません。