スマートフォンやコンデジ、ミラーレス、一眼レフなど多種多様なカメラを取り付けて、安定した撮影を可能にする撮影器具にジンバルあるいはスタビライザーと呼ばれる器具があります。
両者のどちらかの言葉が商品名によく用いられるのですが、2つの言葉には一体どいった違いがあるのでしょうか。この記事では、ジンバルとスタビライザーの違いについて解説したいと思います。
ジンバルとは
先にジンバルについて。ジンバルとは、カメラを取り付けた回転軸をロータあるいはベアリングで介することで、外部からの回転を打ち消す仕組み・回転台のことです。これにより、取り付けたカメラは、ある方向の回転を受けても、地平線に対して垂直に保つことができます。
この回転軸は、取り付ける数によって、より安定するのですが、撮影器具に用いられる機構には3つの回転軸が搭載されていることが多いです。回転軸が3つあると、横揺れ、縦揺れ、偏揺れの影響を受けないようになり、3次元方向のあらゆる回転に対処することができます。
ちなみに、カメラが上下に回転する軸をピッチ軸、左右に回転する軸をロール軸、水平方向に回転する軸をヨー軸と呼びます。撮影器具の仕様書を見ると、それぞれの回転可能角が記載されているので購入する前は確認すると良いと思います。
ジンバルを搭載した撮影器具は、撮影者が歩いていたり、走っていても、滑らかで安定した撮影が可能になります。スマートフォンやデジカメ本体に独自の手振れ補正機能がついていることがありますが、ジンバルの手振れ補正には敵いません。
また、ジンバルの回転軸には機械式と電動式があります。機械式は、おもりやバネなどの物理的な機構を使ってカメラのバランスを保ち、手ブレを軽減します。メリットは、
- 電源が不要で、バッテリー切れの心配がない
- 比較的安価
- シンプルな構造で、軽量・コンパクトなものが多い
デメリットは、
- 電動式に比べて手ブレ補正の効果が弱い
- カメラの重量バランス調整が必要な場合がある
- 動きの激しいシーンでは、十分な補正効果が得られない場合がある
それに対して、電動式は、モーターやジャイロセンサーを使ってカメラの動きを検知し、リアルタイムで補正します。メリットは、
- 手ブレ補正の効果が非常に高く、滑らかな映像を撮影可能
- 動きの激しいシーンでも安定した映像を撮影できる
- 自動で水平を保つ機能や、被写体を追尾する機能が搭載されていることがある
デメリットは、
- 電源が必要で、バッテリー駆動時間が限られている
- 機械式に比べて高価
- 比較的大きく、重量がある
などが挙げられます。
最近では、3軸で電動式のジンバル機構を搭載した撮影器具が主流のような気がします。
スタビライザーとは
一方で、スタビライザーは、動画撮影時に手ブレを抑え、滑らかで安定した映像を撮るための機材を直接示します。
一般的にスタビライザーと聞くと、自動車のサスペンションに装着される部品を示すことが多いです。自動車に用いられるスタビライザーとは、カーブを曲がる際の車体の傾き(ロール)を抑え、走行安定性を向上させる部品のことで、英語では「安定させるもの」という意味を持ちます。
カメラのスタビライザーも「撮影を安定させる」という意味から、撮影器具に対して、この名称が用いられるようになったと考えられます。
まとめ
よって、安定した撮影をするための器具全般をスタビライザーと呼び、このスタビライザーにジンバル機構を取り入れたものをジンバルと呼びます。
つまり、ジンバルとスタビライザーの違いは、「ジンバルが回転軸を用いて案手下撮影を可能にする仕組み・回転台のことで、スタビライザーがジンバル機構に関係なく安定した撮影をするための撮影器具のこと(但し、スタビライザーと呼ぶこともある)」です。
以上、「ジンバルとスタビライザーの違い」についてでした。
以下の商品は、スマホ用の電動式3軸ジンバルになります。