OuraのCEOが語る、これからのスマートリングは何ができることが重要なのか
スマートリングの大手製品といえば、Oura社が開発・製造している「Oura Ring」です。Apple Watchのようなスマートウォッチと違い、目立たず軽い装着感で着用できるスマートウォッチは、常にユーザーの結構状態をモニタリングしておきたいヘルストラッキングと相性バッチリです。
去年は、スマートフォン大手のサムスンも自社製スマートリング「Galaxy Ring」を発売するなど、徐々に盛り上がりを見せているヘルスケア業界ですが、これからのスマートリングは、どのような機能を搭載すれば、ユーザーの高い満足度を得られるのでしょうか?そんな疑問にOuraのCEOであるトム・ヘイル氏が答えています。
トム・ヘイルCEOは、2025年以降のスマートリング業界では以下の4つが重要だと答えています。
- 予防医療
- メタボリックヘルス
- ホリスティックヘルス
- AIによるパーソナライズ
まず一つ目は予防医療です。同CEOは、医師達が病気を未然に防ぐ予防医療対策を推し進めるにあたって、スマートリングのようなウェアラブルデバイスは重要な存在だと説いていて、今後はこれが新たなヘルスケア業界でのトレンドになると予想しています。
二つ目はメタボリックヘルスです。メタボリックヘルスとは、代謝機能が正常に働いているかを表す指標のことで、きちんと栄養素が体内で効率よく代謝されているかや、食事をしても血糖値が安定しているか、脂質がバランスよく保たれているか把握することができます。この数値が悪化すると、内臓脂肪 が蓄積しやすくなり、高血圧、高血糖、脂質異常症 など、複数のリスク要因が重なる状態になります。ちなみに、これをメタボリックシンドロームと呼びます。
メタボリックヘルスの悪化は、寿命の短縮 や QOL(生活の質)の低下につながることが分かっていて近年、世界中で注目されています。同CEOは、このメタボリックヘルスが総合的な健康状態を表す指標として、ますます重要になると予想。これからも、Oura Ringに不可欠な機能として継続していくようです。
三つめはホリスティックヘルスです。ホリスティックヘルスとは、人間を全体として捉え、心身と環境の調和を重視する健康観のことで、肉体だけでなくメンタルや社会的要因も含んでいます。同CEOは、このホリスティックヘルスに対するユーザーニーズが増えると予想。これからのウェアラブルデバイスは、いかにして性能や機能を組み合わせることでホリスティックヘルスを実現できるかが重要だとしています。
最後はAIによるパーソナライズです。ヘイル氏は、AIによってパーソナライズされたヘルスサポートが英国や他国の医療システムに変革を起こすと予想しています。今年もAIのさらなる進歩が期待されますが、AIとヘルスケアを組み合わせたシステムが今の医療現場をガラッと塗り替えることは、ほぼ確実です。ヘイル氏もヘルスケアにおけるAIの可能性を見出していて、これから、どのようなAI機能がOura Ringに搭載されるのか期待ができそうです。
Oura、AI開発のために多額の資金調達
そんなOuraですが、去年の12月19日にシリーズDラウンドで2億ドル(約314億円)を調達したことを発表しています。シリーズDラウンドとは、ある程度成長したスタートアップ企業が次の成長に向けて多額の資金調達をする段階のことです。ちなみに、この発表でOuraの評価額が52億ドル(約8170億円)までに上昇しました。
Ouraの売り上げは真近1年で2倍に増加しているそうで、その主な原因は月額5.99ドル(約940円)のサブスクリプションだそうです。Ouraのサブスクは、無料ユーザーでは制限されるあらゆる機能にアクセスできるというもので、このサービスがうまく軌道に乗っているそうです。
トム・ヘイルCEOは、この資金調達について、今後は人工知能(AI)開発を戦略の中心に捉えつつ、リング以外にも新たなビジネスを開拓していきたいと述べています。AI機能を搭載した今後のOura Ringが注目される一方で、Oura社による新しいウェアラブルデバイスにも注目です!