パソコンにかかせないメモリ(主記憶装置)にはSPD(Serial Presence Detect)というデータが入っています。この記事では、そんなSPDについて簡単に解説します。
SPDデータとはメモリの仕様情報をマザーボードに伝える仕組み、チップ
SPDとはメモリの仕様情報(メーカー名や企画、容量、動作クロック数など)をマザーボード、BIOSに伝える仕組み、チップのことです。この仕様情報はメモリモジュールの中にある、不揮発性メモリの一種であるEEPROMに保存されています。
不揮発性メモリとは電源を切ってもデータを保持できる記憶装置のことです。そのため通常は電源を切るとメモリのデータは消えるのですが、EEPROMに保存されているSPDデータは消えないようになっています。
また、EEPROMはプロテクト機能を使って、誤って情報が書き換えられないようにできるのですが、プロテクト機能をかけるか、かけないかはメモリモジュールメーカーによって異なるようです。
オーバークロックのためのXMPデータ
メモリには、JEDECの標準規格に対応したネイティブ対応メモリ(スタンダードメモリ)の他にオーバークロック対応メモリがあります。
オーバークロック対応メモリとは、メモリの動作クロックを上げることでパソコン全体の性能を引き上げようとするメモリのことです。オーバークロックにすると、CPUやマザーボードとの互換性や、システム側の負担などで、動作が不安定になることがあり、安定動作が保証されているネイティブ対応メモリと比べて、少し癖のあるメモリになっています。
オーバークロック対応メモリには標準規格に対応した製品仕様のSPDデータと本来のオーバークロック仕様のXMPデータの二つのメモリプロファイルがEEPROMに保存されています。XMPとはintelが開発したオーバークロック機能を使用するための規格です。XMPはDDR4で「XMP2.0」、DDR5で「XMP3.0」があります。
最初の動作クロックは、標準規格のSPDデータにあるクロック数に設定されています。オーバークロックにするにはBIOS画面からXMPボタンをONにすると、自動でメモリクロックがオーバークロックに切り替わります。
また、AMDにはEXPOというオーバークロックの規格がありますが、EXPOに対応しているメモリはXMPと比べて、まだ少ないようです。
メモリの仕様情報の確認方法
確認には以下の方法があります。
- タスクマネージャーのパフォーマンス(メモリ)での確認
- CPU-ZのSPDタブでの確認
- Windowsのコマンドプロンプトにて「wmic memorychip」を打ち込む方法(コマンドプロンプトは正しく使わないと、データが消えたり、パソコンが動かなくなる場合があります。この方法をとる方は自己責任でお願いします。)
- 本体からメモリを取り出し、実物に書いている情報を直接確認する方法(メモリを取り外さないといけないため、少し面倒な方法です。)
4つ目の場合は、直接取り出す際、静電気に注意してください。
まとめ
SPDとは、メモリの仕様情報をマザーボード、BIOSに伝える仕組み、チップのことです。メモリは電源を落とすと、中のデータは消えてしまいますが、不揮発性メモリに入っているSPDデータは消えないようになっています。
また、オーバークロック対応メモリにはSPDの他にXMPデータもあります。
メモリの仕様情報はタスクマネージャーやCPU-Zなどを使うと簡単に確認することができるので、興味のある方は確認してみてください。
以上、SPDについての簡単な解説でした。