新しいスマートフォンを買った際は、できるだけ新品の状態で保つように、強度の高いガラスフィルムでディスプレイを保護しようとする方は多いと思います。
せっかく買ったスマホに少しでも傷が付くと、落ち込みますからね。
通常のフィルムよりも強度の高いガラスフィルムは、ディスプレイを傷から守るのに適していますが、いざガラスフィルムを買おうとすると、パッケージの表記に9Hや10Hと書かれた商品があり、どちらが良いのか悩むかも知れません。
今回は、この9Hと10Hの違いについてや、そもそもガラスフィルムのHとは何かについて解説したいと思います。
コスパ重視なら9Hがオススメ
「せっかく高いスマホを買ったし、絶対に傷つけたくないから10Hにしておこう!」と考える人は多いと思います。
確かに、10Hの方が9Hよりも強度が高いのは事実なのですが、10Hなら絶対にガラスフィルムが割れないというわけではないのです。
というのも、ガラスフィルムに表記されているHというのは、ガラス表面を覆っているコーティング塗膜の強度のことで、ガラスの強度を示すわけではありません。
そのため、10Hのガラスディスプレイだとしても、重く鋭利な物で傷をつけると簡単に割れてしまうこともあります。
他にガラスフィルムが割れる原因として、表面塗膜に付いた細かな傷がいくつも重なって、最終的にガラス自体が割れてしまうというのもあるため、そういった意味では、9Hよりも10Hの方が優れていると言えます。
相場価格では、9Hが1000~2000円ほどで、10Hが2000円~4000円ほどだと思います。
金銭的に余裕があって、できるだけスマートフォンを傷から守りたいという方であれば、10Hを。
そこまでフィルムにお金をかけたくないという方であれば、9Hで良いと思います。
9Hであってもガラスフィルムという時点で、他のフィルムよりも強度がありますし、ガラスフィルムも塗膜が徐々に剝がれて劣化していくものなので、安く済ませるとコスパ的にも良いと思います。
「10Hはダイヤモンド並みの強度!」っていうのは本当?
9Hや10Hのように、コーティング塗膜の強度は、鉛筆法という日本工業規格の「JIS K 5600」で定められた試験方法で測定されます。
鉛筆法とは、塗料で塗装された表面が、日常的な擦り傷などに対してどれくらいの耐久性を持っているかを調べるもので、既知の硬さの鉛筆で塗膜を傷つけ、塗膜がどの程度の力で傷つくかで、強度を評価します。
つまり、9Hのガラスフィルムは、9Hの硬さの鉛筆に耐えられた強度。10Hのガラスフィルムは、10Hの硬さの鉛筆に耐えられた強度。ということになります。
ちなみに、10Hというのは、鉛筆の硬さを表す指標の中で一番硬いです。
- H: Hard(ハード:硬い)の略で、数字が大きくなるほど薄く硬い芯を示します。
- B: Black(ブラック:黒い)の略で、数字が大きくなるほど濃く柔らかい芯を示します。
- F: Firm(ファーム:しっかりした)という意味で、HとHBの中間の濃さと硬さを持った芯のことです。
鉛筆の硬さ | 特徴 | 用途 |
---|---|---|
9H~10H | とても硬く、薄い線 | 設計図面、技術図面 |
8H~7H | 硬く、薄い線 | 設計図面、下書き |
6H~5H | 硬め | 下書き、製図 |
4H~3H | 硬め | 設計図面、下書き |
2H | 硬め | 下書き、製図 |
H | 硬め | 下書き、製図 |
F | 中間 | 筆記、製図 |
HB | 中間 | 一般的な筆記 |
B | 柔らかい | スケッチ、漫画 |
2B | 柔らかい | スケッチ、漫画 |
3B~6B | とても柔らかい | スケッチ、漫画 |
よく、巷間で「10Hはダイヤモンド並みの強度!」というのを聞きますが、あれは全くのでたらめです。
鉛筆法とは別に、鉱物の「ひっかき硬度」を表す「モース硬度」というものがあります。
モース硬度は、鉱物の硬さを比較するした尺度で表わされるのですが、ダイヤモンドは、その中でも最も硬い10が与えられています。
モース硬度 | 鉱物 | 特徴 | 身近な物質との比較 |
---|---|---|---|
1 | タルク | 最も柔らかい | 石鹸 |
2 | ジプサム | 爪で簡単に傷つく | 爪 |
3 | 方解石 | 小刀で傷つく | コイン |
4 | 蛍石 | ガラスで傷つく | ガラス |
5 | 燐灰石 | ナイフで傷つく | ナイフ |
6 | 長石 | ガラスを傷つける | ガラス |
7 | 石英 | 鋼を傷つける | 鋼 |
8 | トパーズ | サファイアを傷つける | サファイア |
9 | コランダム | ルビー・サファイア | ルビー |
10 | ダイヤモンド | 最も硬い | ダイヤモンド |
そのため、よく「鉛筆法の10H」と「モース硬度の10」が混同して、10H=ダイヤモンドとなることがありますが、それぞれ違う指標なので関係なく、10Hのガラスフィルムはダイヤモンドほど強くありません。
まとめ
今回は、「ガラスフィルムの9Hと10H、どっちがいい?」について解説しました。
強度を比較すると、10Hの方が上ですが、ガラスフィルムは年々劣化していくもの。筆者としては、コスパ重視で考えると、9Hで十分かなと思います。
もし、9Hガラスフィルムを探しているのであればAnkerの「Easy Fit ガラスフィルムキット」がオススメです。
iPhone 16シリーズ / 15シリーズ専用ですが、パッケージが貼り付けキットになっていて、2ステップで誰でも綺麗にガラスフィルムを張り付けることができます。2枚入りで1,990円とリーズナブルなので、気になった方は、ぜひ試してみてください!